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VISUAL ROCKETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

VENOM VOL.3: TWIST (Marvel, 2004)

 はい、そんなわけで申しわけありません。訳あってVol.2が現在手元にない上に読んだのがはるか昔でぼんやりとあらすじ覚えている程度なので今回はVol.3となります。


原書合本版(Amazon): Venom Vol. 3: Twist (Venom (2003-2004))

 北極圏にある米軍基地でVenom共生体と遭遇して以来、人類の存亡を巡る陰謀に巻き込まれてきた元通信士Patricia Robertson — 紆余曲折を経て自らもまたVenom共生体を有するようになった彼女は、人類をこの世界から抹消しようと企む謎の存在”Bob”、そして彼の率いるクローン美女軍団の陰謀を阻止すべくNYの大都会へ来ていた。同じ頃、いち早く事態を察知したNick FuryはFFのReed Richardsから無断拝借した技術を使用し、対共生体作戦を講じる。
 様々な思惑はやがて鍵を握る人物 — Eddie Brockという点の上で交錯することに……。

 まずVol.2で起こったこと/わかったことを合本の最初についているあらすじやWikiなんかを参考にざっくりまとめると……
1)Vol.1でRobertsonらを襲った共生体はEddie Brockの共生体のクローンだかコピーだかで”Bob”という謎の男がトップに君臨するArarat Corporationなる企業により実験を施されていたものが逃げ出したものと判明

2)共生体は人里を目指す道中で遭遇したWolverineなどと融合したり分離したりしながら、最終的に特殊な装置を頭蓋に埋め込むことでそれをコントロールする能力を手に入れたRobertsonと一体化

3)Vol.1にて登場した謎の黒服”The Suit”は異星人でどうやら”Bob”側と対立している模様

 ……と、まあこんなところ。Robertsonに関しては共生体を得る過程で頭髪がほとんど剃られてしまった容姿となっている上、本巻はアーティストもVol.1とは変わっているため判別するのにやや時間を要したか。

 で、そのインテリアを担当したアーティストというのが名前を見て意外や意外 — Skottie Young じゃないですか。
 Youngといえば THE WONDERFUL WIZARD OF OZ をきっかけに大ブレイクを果たしたアーティスト。可愛くも憎たらしい感じが堪らないカートゥーン調の絵柄を持ち味にすっかり一流の描き手として地位を獲得してしまった彼ですが、本作における彼のアートは未だそこに到達する前の状態。ぱっと見はかなり印象が異なるものの、表情の機微や背景など細かい部分で現在の彼に通じる部分が幾つか見受けられました。
 コメディの描き方が秀逸なのは無論ですが、だからといってアクションが描けないかと言えばそういうわけでは決してなく(ここに来てようやく登場する)Spider-manのアクロバティックな動きなどもカッコ良ければ、#15においてRobertson-VenomとBrock-Venomが衝突する見開きページなども中々の迫力。


分冊キンドル版(Amazon): Venom (2003-2004) #16

 
 本巻ではVenomがNYの街中で放つ魅力を再発見することができたのが個人的には一番の収穫でした。閉ざされた空間内でVenomが人々を襲撃するというよくあるモンスター・ホラーだったVol.1もそれはそれで面白かったものの、VenomはやはりNYの街中にいてこそ引き立つ存在だと改めて気付かされました。
 Spider-manの能力を有した動きと、変幻自在な共生体の能力を活かしたアクション、それに獰猛な獣か恐竜を思わせるような容姿。一般的なモンスター・ホラーの舞台はもっぱら人里離れた場所だったり、宇宙船みたいな密室空間だったりする中、街中を自由に跋扈できるVenomのような存在はかなり貴重であり、それが彼の魅力となっているのかも。
 一応本巻でシリーズは終了ですが、いかにも続きがありそうな終わり方……いつか何かの形で続きが出るかも。乞うご期待。