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VISUAL ROCKETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

NAILBITER: VOL.2 (Image, 2015)

 いやいやいや、どうしてお前が出てくる。


原書分冊キンドル版(Amazon): Nailbiter #7

 過去に16人もの連続殺人鬼を輩出した田舎町Buckaroo。真相の解明に挑む親友のFBI捜査官に呼び出されたNSA尋問官のNicholas Finchは、だがその彼が失踪を遂げたことを知り地元の保安官 — と同時に16人目の殺人鬼で無罪を勝ち取り現在も町で暮らすEdward "Nailbiter" Warrenの元カノ — であるCraneと共に捜索へ乗り出す。
 時を同じくして町で起こり始める殺人、殺人鬼だけを集めた墓地、その地下の空洞で四肢を切断され発見された親友……この町で一体何が起こっているのか?各々の個人的事情も明るみに出る中、町はさらなる狂気の淵へ陥る。

『ANOTHER』(綾辻行人の原作小説ね。私はアニメ未視聴なんで)が好きな方なら是非とも読んで頂きたい。田舎町を舞台にした奇怪な事件を巡る、狂気と謎のルーラル・ホラー第2巻。
 現在DCで『FLASH』のライターとして確実にスターダムのステップを上っているJoshua Williamson、サスペンスを引き立てつつもグロテスク過ぎずサクサク読んでいけるアートのMike Henderson、不気味さを漂わせながら単調でないカラーのAdam Guzowskiと、クリエイター陣にこれといった変化はなし。Imageの作品はアーティストがシリーズを通して安定した傾向があるのも大きな魅力の1つ。

 で、肝心の中身だが。
 ゲストはMichael Brian Bendis。
 ……いや、ゲスト・ライターとかゲスト・アーティストとかでなく。
 うん、同姓同名の別人でもなく。
 Marvelのドン、その人が何故か本巻の第2話にゲスト・”キャラクター”として登場する。ほんと、びっくりだよ(一応確認したけどRobert KirkmanそっくりのFBI捜査官は他人の空似でした。まあ酷い目に遭ってるしなあ)。
 とは言うものの落ち着いて考えてみれば元々BendisはGOLDFISHみたいなノワール系作品が原点のライターだし、本作のような作品からはそれほど遠い存在というわけではないのかも(コマにちらりと映り込むUNITED STATES OF MURDER, INCが何とも初々しい……続きはいつか出るのだろうか?)。
 
 Bendis登場話も含めて今回はどちらかというと1話完結的なスタイルの回が多い。子供を連続殺人鬼にするためBuckarooで出産を試みる妊婦がやってきたり、逆に子供達を殺人鬼にしないため殺してしまおうと思いつくスクールバスの運転手が心中未遂を起こすなど、少しずつBuckarooの町に狂気が染み渡っていく様が描かれる。
 一方でタイトルにもなっている16番目の殺人鬼Edward "Nailbiter" Warrenも出番をしっかり確保。町で一番何するかわからない存在が自身であることを見せつけてくれました。#9における彼は間違いなく本巻で最もインパクトのあるシーンだったかと思う。
 
 何やらオカルト要素も入ってきて単なるサスペンスには留まらない様相を見せ始めた本作、果たして最後は『うずまき』みたいになってしまうのか。乞うご期待。てか期待してます。


原書合本版(Amazon): Nailbiter 2: Bloody Hands