VISUAL BULLETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

SUPERBOY: SMALLVILLE ATTACKS (DC, 2011, #1-2)

 世界最大のヒーローとその最大の敵との間に生まれたクローン?
 そんなのどうだっていいじゃない。


本記事で紹介した内容含む原書合本版(楽天)(Amazonは下に掲載): Superboy: Smallville Attacks SUPERBOY SUPERBOY SMALLVILL (Superboy) [ Jeff Lemire ]

 INFINITE CRISIS で死亡した後、紆余曲折を経て(FINAL CRISIS: LEGION OF THREE WORLDS などを参照)この世に蘇った Conner Kent a.k.a Superboy 。再び Smallville で高校生として暮らし始める彼は平穏な日々を求めるものの、物事はそううまく行かず。突如出現した Phantom Stranger からの警告を皮切りに Parasite の出現、 Poison Ivy の訪問と奇妙な事件が立て続けに起こる Smallville 。 Conner は友人で天才発明家の Simon Valentine と共に事件の調査に乗り出すが……。

 「あの世の回転扉、それは心のクレンジング・マシン」とでも言わんばかりに INFINITE CRISIS までのあの鬱屈したガキンチョはどこへやら、本作の Conner Kent は若き日の Clark Kent を彷彿とさせる好青年となっております。

 ライターは Jeff Lemire 。うん、この牧歌的な感じは ESSEX COUNTY の彼。物語全体に田舎特有の風が吹き抜けていて、危機的な状況でもどこか安心感が漂う。事件の規模もあくまで Smallville 内に収まっていて、雰囲気としては初期のドラマ SMALLVILLE のよう。
 Lemire って JLU みたいなチーム物ではいまいちぱっとしないのだけれど、単体キャラの作品ではほぼ負け無し。本シリーズも New52 開始の都合上1年にも満たずに終了してしまったものの、読者の評価はかなり高く、それがなければもっと継続していたものかと思われる(そう、 New52 の功罪はこんなところにも……)。

 ほっとする色合いは Jamie Grant によるもの。彼がカラーを手掛けた WE3 や ALL STAR SUPERMAN などの作品を思い出して頂ければ本作の出来も納得できる。重苦しい都会の裏通りも中々難しいけれど、 Smallville を覆うような爽快な空の色を出すのも中々難しいのです。

 本作に田舎の珍騒動的な軽妙さをもたらしているところには Ma Kent や Krypto 、それに Conner の同級生 Simon Valentine などサブキャラクターの功績が大きい。とりわけ Simon に関してはおそらく S.T.A.R. Labs でも働けるであろう明晰な頭脳の持ち主ながらこれまた好青年と Lex Luthor の屈折した部分をピンと伸ばしたような人物で、その才能豊かで珍妙な発明家っぷりが物語の明るさを一層明るくしている。
 あと、動物。動物はやっぱ正義っす。 TEEN TITANS で Clark から世話を任されていた時はあんなに嫌々だった Conner も今や放課後は常にKryptoと行動を共にするように。そんな愛犬が主人の危機に活躍しない筈もなく。 ”S” の字がプリントされた赤いマントをはためかせ縦横無尽に飛び回ります。犬が好きとか嫌いとか関係なく、動物が活躍する話には人間だけのストーリーにはない温かみがもたらされる。

 マントが空を飛び交い、暗がりには血飛沫が飛び散る大都会から少しばかり距離を置いた Superboy 。そんな彼の活躍には懐かしい興奮が秘められている。


原書合本版(上記商品と同一のもの)(Amazon): Superboy Vol. 1: Smallville Attacks