VISUAL BULLETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

BATMAN AND ROBIN: BATMAN REBORN (DC, 2009, #1-3)

 新たなダイナミック・デュオは、嗤う Batman としかめっ面の Robin。


本記事で紹介した内容含む邦訳版合本(Amazon): バットマン&ロビン (ShoPro Books)

 Bruce Wayne a.k.a Batman が FINAL CRISIS 事件により死亡して(いると思われるようになって)から数ヶ月。新たに Batman と Robin の座を継いだ Dick Grayson と Damian Wayne の2人が遂に活動を開始する。早速麻薬のディーラーである Toad を捕らえる彼らだったが、やって来た理由も取引した品物もはっきりしない。さらに、支払いに使われたスーツケースの中にはドミノがぎっしると詰まっており……。2人は僅かな手がかりを頼りに Professor Pyg なる存在を追い求める。

 久々の Grant Morrison による Batman サーガ。別に忘れていたわけじゃないんすよ。ただほら、このシリーズ、アートはころころ変わるし、記事にする順番もあれこれ迷うしで……記事をストーリー毎に作るようになってから多少やりやすくなったのでようやく再開したというか。
 はい、言い訳です。他の作品にかまけててしばらく放置してました。

 アートは Frank Quitely 。最初のページの1コマ目から全力全開。”BOOM BOOM”というオノマトペ型爆炎をバックに車がトンネル入りする描写からは以前 HONDO CITY LAW の記事で言及したような彼得意のリアリスティックな絵によるコミカルなアクションが炸裂していて痺れます。
 個人的に本作一番の見せ場は#3の14ページ目における Batman と Robin の連携プレイ。#1から#2にかけてはバラバラだった2人がこのページの最初3コマでさり気なくタッグ・ファイトをかましている様子はあっさりと描かれているものの、中々見ごたえがある。

 さて、今回の敵は Professor Pyg 。豚の仮面を被っているものの、 Morrison は Momusカヒミ・カリィというアーティスト(後者は日本人らしい)による楽曲 Pygmalism から着想を得たというが、大本はおそらく George Bernard Shaw による戯曲 PYGMALION(ミュージカル『My Fair Lady』の原作で男がとある花売りの少女を淑女として教育する話。 Pyg の人を Dollotron に豹変させるとこへ被せてるとか何とか)。
 瞬く間にファン達の間に知れ渡る人気ヴィランになったものの、 INVISIBLES の Whimper や DOOM PATROL の Mr. Nobody にも通じる、不気味ながらどこか滑稽な面もあるクレイジー・キャラは Morrison でないと描くのが中々難しいようで、ちょい役以上の存在としては今回以降、現在に至るまでほとんど登場していないのが残念なところ。そのうち Gerard Way あたりが何かの形で扱ってくれやしないだろうかと期待。
 
 まだまだ始まったばかりの新生 Batman And Robin の活躍。既に一度読んでいるとは謂え、再読を通してまた新たな魅力を発見できることを期待したい……と、同時に次はもう少し間を空けず記事更新したい、と思います。はい。


原書合本版(Amazon): Batman & Robin Vol. 1: Batman Reborn


本記事の内容含む原書合本版。近日発売予定ながら発売日はまだ未定のよう(Amazon): Batman & Robin By Grant Morrison