VISUAL BULLETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

RUNAWAYS: STAR-CROSSED (Marvel, 2005, #7-8)

 自分が変に思えるのは人と違うから?


分冊キンドル版(Amazon): Runaways (2005-2008) #7

 半人半機の青年 Victor を新たに迎えた Runaways 。親達の罪を償うため日夜ヒーロー活動に勤しむものの、逃亡生活との両立は簡単ではない。ある日、物資を調達するため街に出た彼ら。出身が地球外であることに疎外感を拭えない Karolina はそこで Nico に対し恋愛感情を抱いていることを告白するがその最中、彼女めがけて1つの宇宙船が飛来してくる。中から姿を現したのは……。

  Victor を巡るシーズン2最初のストーリーが合本1つまるまる費やしたのに対し、比較的コンパクトにまとまった今回のストーリー。他のコミックならこういうのは「次の大きな話やる前の穴埋め(フィル・イン)ね、はいはい」といったところだが、ここに敢えて大きな展開を持ってくる Vaughan 、流石です。

 今回登場する新キャラは Skrull 出身の Gavin 。 Karolina の許嫁であり、訓練中の Super-Skrull という将来大変有望な若者。多少 Skrull 的な?頑固さはあるものの、登場時は男の格好をしていたものの Karolina が好きなのは女の子だと知るとあっさり性別を変えてしまう器用さも兼ね備える中々のハンサムさん。

 そんな Gavin が求婚しに来た Karolina が今回の話の中心。エイリアンで LGBT な彼女が、巻き起こる諸々に心を揺り動かされながらも自ら決断していく様子は青春ドラマの1エピソードといったところ。
 アメコミのライターは Scott Snyder のようにモノローグやナレーションを多用する文学派と、そういったものをほとんど使わずパネル内で起こることだけで話を展開させる映像派とに大きく二分される(個人的な感覚だと文学派はアメコミのライターに多く、逆に映像派は日本の漫画作家に多い感じ)が、 Vaughan は LOST の脚本なども担当したことがあることからも予想できる通りかなり映像派寄り。
 それ故か今回のアーティストである Takeshi Miyazawa ともとても相性が良いみたい。というかシーズン1の頃と比べて彼のアート、結構レベルアップしてます。前回登場した際はまだ Vaughan のストーリーテリングにいまいち合わないかなと感じることもあったけど、今回はそれを見事に擦り合わせている。 Victor にシリアルをねだる Molly がカワイイことカワイイこと。 Christina Strain による若者のポップカルチャーを思わせる明るめの色遣いともマッチしていて青春度を盛っている。
 少々寂しい余韻を残すこととなった今回のストーリー。ここで起こったことが今後チーム(特に Nico )にどう影響を及ぼしていくのか。できればドロドロな展開は避けてほしいかな……。


分冊キンドル版(Amazon): Runaways (2005-2008) #8


本記事で紹介した内容含む原書合本版(Amazon): Runaways Vol. 5: Escape to New York