VISUAL ROCKETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

BATMAN AND ROBIN: BLACKEST KNIGHT (DC, 2010, #7-9)

 何気にアメコミを読み慣れてないと難しいかもなエピソード。


本記事で紹介する内容含む原書合本版(Amazon): Batman and Robin: Batman vs. Robin (Deluxe Edition)

  Red Hood や Flamingo らとの戦闘で負傷した Damian が母 Talia のもとで治療を受けている頃、 Dick Grayson a.k.a Batman は Gotham から遠く離れた英国にいた。この地に隠されている奇跡の泉 — Lazarus Pit を使い、 Bruce Wayne を蘇らせるために。同国で活躍するブリティッシュ・ダイナミック・デュオ Knight & Squire の協力によりその所在を突き止めることに成功した彼は、だがそこで犯罪を宗教行為として崇めるカルト教団を追っていた Bat Woman と遭遇する。やがて泉の中に沈めていた闇の騎士の肉体が静かに起き上がる……。

 引き続き Grant Morrison による Batman サーガ、その第2部である本シリーズ BATMAN AND ROBIN の、今回は転換点とでもいったエピソード。
 先に難点の方を挙げておくと、アメコミをある程度読み慣れていないとややハードルが高いかもしれないとは思った。というのもまず Bat Woman の事情とか FINAL CRISIS 事件(今になってまだ扱ってないことに気付いたので近いうちに記事にする予定)の経緯などといった背景情報が要されるため DC や Marvel を読む上でほぼ必須とされる関連誌の情報収集能力が少し試される上に、「Bruceは死んでなかったんだ!」という結論に至るまでの強引さがやや80’s/90’sテイストで、アメコミってこういうもんなんだってわかってないと若干不満が残る可能性があるからだ。

 けれど逆を返すとその点さえ看過できればそれなりに良い読書体験ができるかと。
 私からポイントアウトしたいのは2つ。
 まず1つ目は序盤の爆弾を追跡して Batman と Squire がロンドン市街を駆け回る場面。バイクに相乗りした2人が爆弾のある地下鉄をバイクで追いかけるシーンで、 Squire の「 YOU NEED A HAND? 」という問いかけに対する Dick の「 I’M COOL. 」という返答。細かいところかもしれないけれど、 Bruce ではあり得ないこの言い回しが新旧 Batman の違いを明確にしており、 Morrison がしっかりキャラクターの”声”を捉えているなと感心。
 
 それともう1つ注目したのが Cameron Stewart のアート。つい最近、同じく Morrison が手がけた KILL YOUR BOYFRIEND の記事で見る度に味が滲み出てくる類のアーティストについて言及したけれど、 Stewart もこのタイプ。正直、刊行時に読んだ時は太めの線を多用する彼のアートはいまいちピンと来なかったものの、今改めて見返してみると中々好印象。
 特にアクション・シーンが秀逸で、先にも挙げたロンドン市街の場面や、#8で Lazarus Pit から出現した偽 Bruce との戦闘シーンなどにおける流れるようなアクションがとても秀逸。
 一撃必殺のパンチを迫力満点に描けるアーティストもいいけれど、こういう細かいアクションを何コマにも跨って描写できるような絵師というのも貴重な存在。こと本作に関してはアクロバットな戦闘を得意とする Dick Batman の良さがたっぷり堪能できる。
 現在、 Batgirl on Burnside などを経てライター業にシフトしつつある Stewart だけれど、絵の方も忘れずに手がけて貰いたいものです。

 そんなわけで Bruce が生きているとわかったことだし、さてどのタイミングで THE RETURN OF BRUCE WAYNE を記事にしようか……(先に FINAL CRISIS やらなきゃだけど)。