VISUAL ROCKETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

HELLBOY VOL.3: THE CHAINED COFFIN AND OTHERS (Dark Horse, 1994-2003)

 昔話や民話を多数取り込んだ本作はやがて自ら寓話のようになっていく。


原書合本版(Amazon)(現在品切れみたい……): Hellboy 3: The Chained Coffin and Others (Hellboy (Prebound))

  Cavendish 家での1件(『 VOL.1: SEED OF DESTRUCTION 』)以来、自らの出自が気になり出した Hellboy は、かつて自分が初めてこの世界に姿を現した東Bromwich教会にやって来て、そこで一夜を明かすことにする。彼は司祭に修道女、それに間もなく死を迎えようとする1人の女性が登場する不思議な夢を見るが……。(『 THE CHAINED COFFIN 』編)

 そこそこ良い感じのペースで読み進めている(と言ってもまだ B.P.R.D. の開始地点にさえ到達してないけれど) Hellboy シリーズ。第3弾の本巻は上記あらすじの表題作や前巻のエピローグ的内容の『 ALMOST COLOSSUS 』編、あるいは本編とあまり関係ない Hellboy の任務を描いた『 THE CORPSE 』編や『 THE WOLVES OF SAINT AUGUST 』編など、色んな形式であちこちに発表されたエピソードを一緒くたにまとめた合本。時間軸としては1960年代から現代まで幅があるものの、舞台はヨーロッパを中心にしているためそこそこ統一感はある。合本1冊費やす長編ものも嫌いじゃないけれど、個人的に Hellboy はこういうトントン読んでいける短い話の方が好きかな。
 
 こういうと原作第一主義者のように聞こえるので恐縮なのだが、 Guillermo Del Toro 監督による実写映画版(今度別の監督でリブートするんだったか。まあ(どうでも)いいけど)もあれはあれで良かったけれど、基本的に私はコミックと別の作品として捉えている。映画の方は何ていうかフォークロア感が足りないというかトールキン感が少々強すぎて。過去に指輪を巡る物語もグインなサーガも玉座の戯れも放り出している私のような人間には少々めんどいというか鼻につくというのが正直なところ。
 
 その点、原作の HELLBOY シリーズは本巻における Mignola の解説を読んでもわかる通り、世界各地の寓話や怪異譚から着想を得ている話が多く、現実と地続きになっていて土着的な雰囲気を帯びている話が多い。作品を読んだ後に『世界の車窓から』とかを観たくなるような気持ちになる独特のアトモスフィアは読んでいても全く苦じゃないどころかむしろ好き。
 
 そんな私が今回特に好きだったのは本巻の1番最初に載っている『 THE CORPSE 』編。他誌で2ページずつ数ヶ月に渡って連載していたものをまとめたというこの作品は妖精に拐われた赤ん坊を取り戻すため Hellboy が死体を担ぎその埋葬場所を探し求めるという中身だが、ストーリーも中世の小話みたいなら、話が階段を上るように進むペース配分もあって民話を読んでいるかのような気分を味わえる。
 これこそ原作 HELLBOY シリーズの醍醐味だ。


分冊キンドル版(Amazon): Hellboy: Chained Coffin/Baba Yaga #0


分冊キンドル版(Amazon): Hellboy: The Corpse and the Iron Shoes #4


分冊キンドル版(Amazon): Hellboy: A Christmas Underground #1


分冊キンドル版(Amazon): Hellboy: The Wolves of Saint August #5


分冊キンドル版(Amazon): Hellboy: Almost Colossus #1


分冊キンドル版(Amazon): Hellboy: Almost Colossus #2