VISUAL BULLETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

FREAKANGELS VOL.2 (Avatar Press, 2009)

 なるほど、こうやって変化をつければ別に畏まって説明とか設ける必要はなくなるのね。 


原書ハードカバー版合本(Amazon): Freakangels Volume 2 Hardcover

 23年前、英国で全く同時に生まれた12人の子どもたち。成長して異能の力を自在に操るようになった彼らはやがて Freakangels と名乗り、世界滅亡後その大半が水没したロンドンで White Chapel というコミュニティを運営しながら日々を過ごしていた。
 別の共同体からの襲撃を退けた Freakangels 達はその晩、久々に集会を開くことにする。しかし、集まった彼らを再び何者かがモルタル弾で襲撃する。すぐに反撃に出る面々だったが……。

 文明崩壊後のロンドンを舞台に11人の若き異能力者達の姿と、彼らの管理する White Chapel との関わり模様を描いたライター Warren Ellis とアーティスト Paul Duffield による秀作。元々は刊行元である Avatar Press の特設サイトで連載していたものを合本形式にまとめたものでシーンの切り替わりにその名残を窺うことができる。
 個人的なことを言えば長らくこの2巻がネックで本作を読むことができていなかったので本巻はちょっと感慨深いというか。というのも、去年一時的にサイトも閲覧不可になっていれば(元から紙で読むつもりだったけれど)何故かシリーズで本巻だけ長らく絶版状態となっていたため手を出すことが出来ず。悶々としていたところ、今年になってようやく増刷してくれたのを知り即座に購入、現在に至る次第で(ネットの方もまた閲覧できるようになったみたい)。
 
 さて、私のことはともかく。
 本巻の内容としては、ようやく White Chapel を拠点とする11人(残りの1人 Mark は何らかの理由で追放されている。物語のボスキャラとしてそのうち登場するものかと)が勢揃い。近隣コミュニティからの襲撃をきっかけに転機が訪れる町での役割分担などを通して、1人1人を改めて紹介していくように話が進んでいく。

  Paul Duffield のアートは荒廃しつつどこか牧歌的な雰囲気を本作にもたらしている。リアル調ながら若干誇張のある動作や表情、アングルが固定されてドキュメンタリーでも観ているかのようなコマの遷移など、随所に施された工夫が静かに、だが確実に物語を脈打たせているのがわかる。背景の建物とかを敢えて定規で引いた真っ直ぐな線ではなくフリーハンドと思われる歪んだ線で描いているのも情緒感ある。あと、銃撃戦のシーンでバリアを張ったり弾丸の軌道を逸らしたりといったアクションシーンも中々。そのうちヒーロー物とかも手がけそう。

 話の先が読めそうで読めないコミュニテイ・レベルのサバイバルストーリーである本作。今後どのような展開が紡がれていくのか、そしてそれがどう絵として描かれていくのか非常に気になる本作です。


原書ソフトカバー版合本(Amazon): Freakangels Volume 2