VISUAL BULLETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

KAIJUMAX SEASON ONE: TERROR AND RESPECT (Oni Press, 2015, #1-6)

 はい、悪いけど今回はちょっと辛口でいきますよー。


キンドル分冊版(Amazon): Kaijumax #1

  Kaijumax — それは人々に危害を加えようとする怪獣達が世界中から送られてきて収監される監獄島。超巨大ヒューマノイドに変身する看守達が管理するこの島では、多種多様な怪獣がいくつかのグループに分かれ、日々しのぎを削りながら生きていた。そして今ここに新たな巨大怪獣 Electrogor がやって来る……。

 まず結論から言ってしまおう。私はこの作品が苦手だ。嫌いと言っても良い。
 ストーリーは中々よくできていると思う。アートもかなりカートゥーン調なところが人によっては好みじゃないかもしれないが、私はさほど気にならなかった。
 
 じゃあ何が問題なのかと言えば。
 監獄ものが観たけりゃ SHAWSHANK REDEMPTION とか『女囚さそり』でも観るよ。怪獣ものが観たけりゃ『シン・ゴジラ』なり PACIFIC RIM なり観るわい。何が悲しくてゴジラで GODFATHER やってるのや、ウルトラマンもどきと元ネタが何かもわからない汚らしい怪獣とのディープキスを見せられなきゃらんのよ、というお話。

 上で元ネタと言ったことからもわかる通り、本作はパロディだ。 Kaijumax に収容されている怪獣共はほぼ全員円谷特撮などでお馴染みの連中だし、看守にしてもまんまウルトラマン。会話の随所に特撮ネタが盛り込まれ、終いには『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』を彷彿とさせる展開まである。

 でも結局やってることは何の変哲もないプリズンもの。
 怪獣ものにする意味あった、これ?
 上っ面の目新しさと言おうか。やっていることは英雄とか兵器をいたずらに女体化させたり、緑の巨人にグラディエーターの真似事させているのと何ら変わらない。もっと言えば上記に挙げた例の中にさえ各々のオリジナリティを保持したまま混ざり合うことで思わぬ化学反応を生み出しているような作品さえある中、喋るわヤクキメるわやってることが全く怪獣らしからぬ本作の収容者達からはそんなもの微塵も感じられない。
 
 怪獣物としても監獄者としてもいつかどこかでみたことのある展開がただ唐突感なく連なっているだけで、監獄の収容者が怪獣の皮を被っているという点を除いて新鮮な要素はない。むしろ不純物が混じっていることで両方が精彩を欠いている。
 唯一、怪獣を倒すために作られたにも関わらず平和思想に目覚めて戦わなくなったため Kaijumax 入りした Mecha-Zon (メカゴジラかモゲラがモチーフかと)というキャラクターだけが少々興味深かったが、後は容姿だけ怪獣で中身はそこらに転がっているチンピラで面白みも何もない。 

 本作については方々から高い評価を得ていることを知っていたし、コンセプトには唆るものがあっただけに非常に残念であるというのが正直な感想だ。


キンドル分冊版(Amazon): Kaijumax #2


キンドル分冊版(Amazon): Kaijumax #3


キンドル分冊版(Amazon): Kaijumax #4


キンドル分冊版(Amazon): Kaijumax #5


キンドル分冊版(Amazon): Kaijumax #6


原書合本版(Amazon): Kaijumax Season One: Terror and Respect