VISUAL ROCKETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

BATMAN INCORPORATED (DC, 2010-11, BATMAN: THE RETURN, #1-8 & LEVIATHAN STRIKES #1)

 多分これ、作品そのものが1つの儀式。


邦訳版合本(Amazon): バットマン:インコーポレイテッド (DCコミックス)

 時の漂流から生還したオリジナル Batman a.k.a Bruce Wayne 。現代に復活を果たした彼は早速あるプロジェクトを発足させる。それは Batman の世界展開 — Batman Incorporated の創設というものであった。日本の Mr. Unknown 、アルゼンチンの El Gaucho 、コンゴの Batwing ……次々と仲間をリクルートする傍ら、世界中で暗躍する謎の組織Leviathanに立ち向かう BatmanBatman, Inc が始動した真の目的とは? Bruce が時空の間で目にした光景とは一体何なのか?そして見えざる敵 Leviathan を率いる敵の正体とは?今、闇の騎士の新たなる戦いが始まる。

  Grant Morrison による Batman サーガの最終章、その前半戦。合本だと BATMAN: THE RETURN は BATMAN AND ROBIN の最終巻に併録されていたりするものの、内容的には間違いなく INC に含まれるためここではそういうものとして扱うことに。

 率直な感想としては路地裏でサイコなチンピラを張り倒していた半都市伝説が随分遠いところまで来たなあ、というか。まあこういった世界展開は始まった時点でしばらくして瓦解することはある程度目に見えているので。連載していた当初も確かネットの反応は「まあ一時的なもんだよね」という感じだったと覚えている(もちろん、だからといって評価が下がるわけではないが)。

 まあ、これまでの Morrison のランを見てもわかる通り、彼は Batman を単なるヴィジランテとして以上に1つの現象というかややメタ的な存在として捉えているので、当初ビデオ1本に生息していた貞子が最近ではネットでブイブイ言わせているのと似たような感覚で捉えればいいんじゃないすかと。
 というか真面目な話、 Morrison は本作をおそらくある種のオカルト儀式として描いているようなところがあるような気がするのよね。

 肝心の中身に関してメイン要素は大きく分けて「世界中で仲間をリクルート」と「 Leviathan との攻防」と。前者の話がメインの時は話も比較的シンプルで痛快(私個人のオススメは #7 の Man-of-Bats とその息子 Little Raven のエピソード)だが、終盤後者の要素が色濃くなっていくにつれストーリーはやや難解に。
 特に LEVIATHAN STRIKES の後半部分に関してはちょうど DC ユニバース全体が NEW52 へ移行時だった経緯もあって、初読時はだいぶ混乱させられた記憶がある。取り敢えず最初に読む際はさらっと表面で起こっていることをなぞり、実際何が起こっているのかは2回目以降……という風な読み方が要されるのも Morrison ならではといったところ。

 まあ、そんなこんなでグローバル展開しちゃった闇の騎士。
 改めて読んでみると上記でも述べたとおり、本作は Morrison が何らかのオカルト的意味合いを込めているような気がしてきたので、ちょっと今回は副読本とか参考にしながら掘り下げて読んでみたいと思っとります。なので続きの記事まで時間が空いてしまうかもしれませんが、気長にお待ち下さい。悪しからず。


原書版合本(Amazon): Batman Incorporated