VISUAL BULLETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

SECRET AVENGERS (MARVEL, 2011 - 12, #16-21)

 誰にも知られず世界を救え。


Secret Avengers (2010-2012) #16

  Captain America の座から退いた Steve Rogers を筆頭に、 元 S.H.I.E.L.D. エージェントの Sharon Carter 、全身武装のサイバネティック・スーツを身にまとう War Machine 、東欧系スパイの Black Widow 、 Asgard 出身の戦士 Valkyrie 、死から蘇った(若干イカれた)白装束 Moon Knight 、そして天才的な頭脳を誇るミュータントの Beast からなるスーパーヒーロー隠密部隊 Secret Avengers 。秘密結社 Secret Empire らの野望を打ち砕くべく、彼らは今日も表舞台から身を潜めながら静かに世界を救う。

  SIEGE 事件を機に AVENGERS DISASSEMBLED 以来、それまで Marvel ユニバースで起こっていた諸々に一端区切りが付いて、新たなスーパーヒーローの黄金時代という触れ込みで始まった HEROIC AGE に創始された比較的歴史の浅い Avengers 分派。創刊時のライターだった Ed Brubaker を始め1アークか2アークくらいでライターがコロコロ変わっており、本巻もそのたすきを Warren Ellis が受け取った#16−21を収録したもの。一から読まなくて大丈夫かとも思ったものの、彼らが異次元生物を崇拝する Secret Empire (イベントとは関係ない。多分。)という秘密結社を相手にこれまで戦ってきたということさえ理解しておけば十分読めるかと。そのことも会話の端々から読み取れそうだしね。

 本巻に含まれる6つのエピソードは6つのミッションをそれぞれ別のアーティスト陣が手がける1話完結物の連作というスタイルになっている。それぞれのミッション同士には基本的に繋がりがないのでどこから読んでも楽しめるというのは後に Ellis が手がける MOON KNIGHT と似ているかもしれない( MK と言えば何気に#19では後に Mr.Knight と称されることになる彼の純白スーツ姿を拝むことができたり)。
 
  Ellis の描くスーパーヒーロー物というのは STORMWATCH などの頃から一貫して彼の実験場的な側面を併せ持つ場合が多い。つまりその作品を執筆した前後で Ellis がネットや書籍などから得た最新テクノロジーや科学理論、あるいは歴史に関する見地など、そういったものがある時はヒーロー達の装備として活躍し、ある時は敵の新たな武器として、あの手この手で差し込まれてくる。故に実はある程度科学的な知識がないとコンセプトがわかりにくいものもあり(今回の合本では#16や#17なんか私にはやや難しく感じられた)、読む側の勉強量が試される作りになっていたりすることもしばしば。
 彼のブログやニュースレターなんかを読んでいると、そこで言及されていたことが後々コミックに盛り込まれていたりするので、もし気になる方がいればそちらに目を向けてみるというのもありかもしれない。

 読みにくいと言えばそれまでだが、こういう作品こそがあるいはジャンルの幅を広げていくのかもしれないと思ったり。


Secret Avengers (2010-2012) #17


Secret Avengers (2010-2012) #18


Secret Avengers (2010-2012) #19


Secret Avengers (2010-2012) #20


Secret Avengers (2010-2012) #21


Secret Avengers: Run the Mission, Don't Get Seen, Save the World