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NEW X-MEN VOL.1 (MARVEL, #114 - 117, ANNUAL 2001, 2001)

  X-MEN の新たなる時代、その幕開け。


New X-Men (2001-2004) #114

 心機一転を図った Professor X のもと、種族間の架け橋になるという原点へ立ち返った X-men 。新型テレパシー能力増幅装置 Cerebra も導入されて新たに学園へ生徒を迎える環境も整い、何もかもが順調に進んでいるように見える彼らだったが、新たな脅威はすぐそこまで迫っていた。オーストラリアでミュータントの救助活動に当たる Wolverine と Cyclops は、学園に戻る途中で自己進化を遂げた Sentinel の大群に襲われてしまう。2人の前に姿を現した Professor X そっくりの女 Cassandra Nova とは……?

 良くも悪くも最終回というものが存在しないスーパーヒーローの世界ではしばしば世界観が広がり過ぎたり人間関係が複雑になり過ぎたりして収拾が付かなくなるため10年か20年に1度揺り戻しの動きが起こる。
 無論 X-MEN もその例外ではなく、特に90年代の MARVEL を牽引してきたといっても過言ではないこのミュータントチームはその間 Apocalypse だの Onslaught だのを相手に散々派手で何でもありな展開でブイブイ言わせてきたものの、流石に2000年前後にもなるとそれも飽和状態に達したためこの措置が取られることに。
 そしてこのスーパータイトルのリブートとアップデートを同時に行う大役を担う人物として白羽の矢を立てられたのが我らのポップマジシャン Grant Morrison である。

 まずはロゴをご覧頂きたい。円に囲まれた X のシンボリックなイニシャル。上下の各3文字は180度回転しても全く同様に読むことができる上下線対称の配置。来るべきシンプルな機能美の時代を予見していたかのような Morrison のデザインセンスに早くも脱帽せずにはいられない。

 肝心の中身に関しても Wolverine と Cyclops が一緒にミッションをそつなくこなしているところとか、タイムトラベラーでもなんでもない Jean Grey が学園を悠然と闊歩しているところとか、何より Professor X がしっかりチームを率いているところからも王道の雰囲気がひしひしと伝わってくる。
 
 そうは言うものの単に昔へ戻るのではなく新たな敵 Cassandra Nova を登場させたり、かつて Hellfire Club の White Queen として敵であったこともあった Emma Frost をチームに加えたりと新機軸もしっかり導入している。

  Morrison 作品について本連載ではまだ Batman サーガのほとぼりも冷めていないのでどうしようか迷ったものの、それ以上にそろそろ X-MEN を扱いたかったものの2000年以降のシリーズはどうやってもこのランを扱わないとどうにも首が回らないので結局扱うことに決定。  
 そんなわけで21世紀の X-men の基盤を築くこととなった本シリーズを今後しばらく追っていこうと思うんでどうぞよろしく。


New X-Men (2001-2004) #115


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New X-Men - Volume 1