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COPPERHEAD VOL.1: A NEW SHERIFF IN TOWN (IMAGE, #1-5, 2014-15)

 宇宙で西部劇とか最っ高。


Copperhead Vol. 1: A New Sheriff In Town

 人類が宇宙へ飛び出すのが当たり前になった未来。とある事情により銀河の辺境に位置する惑星は Copperhead という町へ息子の Zeke と共にやって来た元警官 Clara Bronson 。町の新たな保安官に就任した彼女は早速とある家庭内トラブルの仲裁をするが、その晩同じ Sewell 家の者達が何者かにより殺傷されたことを知ると、相棒の Budroxifinicus (通称 Boo ) と共に捜査へ乗り出す。一方、留守番するよう言われた Zeke だったが……。

 シリーズ開始が2014年。当初は着々と号数を重ねていたのにある時から刊行スピードが鈍化、知らぬ間にぷっつりと休刊状態へ。このまま風化してしまうのかと思っていたら、今年の春にしれっと復活していたことに最近気付き、目下最初から追い直している次第。
 ことファースト・アークの本巻だけに関して言うなら越らこそコンバット・スーツにエイリアンにと大変 Sci-fi しているものの、中身は完全に西部劇。そのあたりはライターである Jay Faerber をはじめとしたクリエイター陣も重々理解している模様で作品解説の場で開き直っている。
 その意気や潔し。
 精々一発ネタがいいところの要素同士を無理に組み合わせてさも新しいものを生み出したかのように誤魔化す作品は大嫌いだけれど、本作はその類ではない。むしろいっそヴィジュアルは Sci-fi 、ストーリーはウエスタンと重心を最初から偏らせることで下手に物語を複雑化させることを回避し、それにより逆説的かもしれないが新たな化学変化を生み出すことに成功している。
 
 自分たちが世界の中心にいると思いこんで天狗になっている荒くれ野郎どもが母親で保安官という少々変化球な主人公にばっきばき鼻っぱしを折られていく様は実に爽快だ。
 無論、アクが強いのは彼女のみならず、彼女の新たな相棒で保安官補佐の Boo や Sewell 家のおかみさんなども中々濃い。そんな濃厚キャラがたくさん登場するシリーズの第1集でもある本巻はそういったキャラクター同士のツバ合わせといった役割も果たしているかと思われる。

 何にせよ、再始動して既に現在 3rd アークを終えている本シリーズにさっさと追いつけるようさくさく読んでいくことにしよう。


Copperhead #1


Copperhead #2


Copperhead #3


Copperhead #4


Copperhead #5