VISUAL BULLETS −今日のアメコミ−

STILL TALKIN' ABOUT COMICS

TANK GIRL: ONE (TITAN BOOKS, 1988-)

 戦車道を尽く冒涜する最凶ガール!


Tank Girl Classic #1(Kindle分冊版)

 刈り上げた頭頂にたなびく前髪。口を開けば悪口暴言。顔の絆創膏がトレードマークのトラブル・メーカー Tank Girl 。行く先々で破壊の限りを尽くす彼女はカンガルーのボーイフレンドやその他友人らと共に今日もオーストラリアの大地で戦車を乗り回す。

 架空バンド Gorillaz のデザインや MAD MAX: FURY ROAD のアートワークなどで知られるJamie Hewlettと、Alan Martinによる80年代を代表するアイコニック・ガールの活躍をデビュー時から時系列に収録した合本の第1巻。
 そもそも大学時代の友人同士だったHewlettとMartinによる同人誌のような形で始まったこのコミックは、Tank Girlの破天荒っぷりと性も暴力も何でもありな過激描写で瞬く間に当時の若者層を席巻、1995年には実写映画化もされるなどして現在も断続的に継続する人気リーズ。コアなファンも数多くいる。

 このモラルも情けもない怖いもの知らずな雰囲気はいかにもブリティッシュと言おうか、なんだかんだ言ってスーパーヒーローの影響がまとわり付くアメリカのコミックなどには中々見られない味。自らの欲にとにかく忠実なTank Girlが戦車を乗り回しミサイルを投げつけたり、時空を超えてやって来た忍者をめった刺しにする様は毒々しくも痛快で病みつきになる面白さだ。

 アートにしてもドギツい容姿のキャラクターや冗談の利いたプロップなど、クリエイター詰め込みたいものを全て詰め込んだおもちゃ箱をひっくり返した感じが非常に楽しく、刺激的。こういった遊びはアーティストのピュアなアイデアが現出する場でもあるためじっくり見ると何気に得るものが多い。

 クリエイターが楽しんで作っている作品というのは総じて呼んでも面白い。ストーリーでもアートでも好き放題やっているのがはっきりわかる本作が結果作品としても大いに楽しめるものとなっているのはある意味当然と言えよう。

 HewlettもMartinも最近ではコミックの外での活動が多いのか、中々新作の出ない本シリーズだが、まあ別に1話1話が繋がっているわけでもないので。こうやって過去の作品をエンジョイしながらじっくりと新作を待つことにしよう。きっと待った甲斐のある好き放題やった作品を読むことができる筈だ。


Tank Girl 1 (Remastered Edition)